春をめぐる物語「ARTと地震」
初夏の様な陽気となった今週末。
かように寒暖の差が激しくなると「サクラマスの動き」が気になってきますね。まぁ、こうした心配事も「釣りができてこそ」なのでしょう(微笑)。
しっかりと堪能しておこうと思います。
さてと、次回の釣行まで間があるので、此度は春休み中の次男坊と共に過ごした時間の断片を綴ってみようと思います。
この春、高校2年生になろうとしている次男坊…。当然の事ながら、独自のライフ・スタイルを確立しつつあるわけですよね。故に、誘い辛いと(苦笑)。
さわさりながら、好奇心を糧に生きてきた親父としては、時として「毛色の異なる刺激」を注入する必要を感じているわけでして…。
そんな親父の意図を分かってか、スケジュールさえ合えば話に乗ってくるので、親父としては助かってます。←結局、気を遣われているというだけの話(爆)。
そんな凸凹親子のささやかな備忘録となります。お時間の許す方は、どうぞお付き合いくださいませ。
懐かしの映画館にて
随分と前の話になりますが、2019年8月に次男坊と二人で「アルキメデスの大戦」という邦画(主演:菅田将暉)を観に行ったことがありました。
この時に入館したシネコンで「ナイル殺人事件」の公開予定(2020年秋頃)を知り、次男坊と「公開されたら観に行きたいね。」と話しておりました。
がしかし、このコロナ渦ですよ…。
そして、コロナ感染拡大と長期化に伴う煽りをまともに受けて延期に次ぐ延期を重ねること1年半ですからね。当該映画関係者もさぞかし気を揉まれたかと…。
正直、こんなに公開が遅れるとは思いませんでした。まぁ、DEF LEPPRDのアルバム「Hysteria」よりは待たずに済みましたが(懐)。
そもそも、原作者のアガサ・クリスティー生誕130周年と名探偵ポワロ・シリーズ出版100周年という節目の2020年秋に公開するのが肝だったんですよね…。
悲しいかな、この稀有なタイミングを活かすことなく、ここ仙台でも22年2月末から公開されたわけですが……去る3月16日の地震でケチがつきました。
この地震により、仙台市界隈にあるシネコン多くに被害が出てしまい、施設が一時閉館されてしまったのですね。因みに、この状態は未だに続いています。
まさに、青天の霹靂でした(溜息)。
被害内容の詳細は分かりませんが、地震から既に2週間以上経過しているにもかかわらず営業を再開できていないという事実を鑑みると、大空間特有の構造的・仕上げ的な損傷は勿論のこと、スプリンクラーが作動して音響設備やモーションシートが濡れてしまった…といった様な甚大な損害を被ったのではないかと推測しています。
なんかねぇ…諸行無常という言葉を思い浮かべましたよ。
そんな不測の事態に陥った親子に手を差し伸べてくれたのが、仙台の映画好きなら誰もが知っている「フォーラム仙台」でした(笑)。
と云うことで、去る3月26日に次男坊を伴って20年振りに訪れましたよ。この親子二代でお世話になるって処が、私を愉快な気分にさせてくれました。
映画館としては小箱ですが、設備はそれなりに刷新してきたのでしょう。記憶の中の景色よりも明らかに整っていましたね(微笑)。
「ナイル〜」が上映された会場は、一番小さいスクリーン1でしたが、落ち着いた雰囲気で好感を持ちました。(ガラスの腰にはシートの角度が辛かった。)
おっと、映画の感想ですよね…。
まぁ、原作が有名過ぎるので、今更ネタバレの心配は無いのですが、そこはやはり近年になって製作された映画ですので……どうなんでしょう?
原作との明確な違い(人種・階級・ジェンダー等に配慮した脚本・キャスティング)を感じながら鑑賞した人間が述べる感想は、ややもすればドライな物言いに傾倒するので、ここでは止めた方が良いかと(微笑)。
因みに、リドリー・スコット(総指揮)とケネス・ブラナー(監督・主演)が好きな私ではありますが、こうしたバイアスが作用しない次男坊と似たような感想を持ちました。勿論、良し悪しを含めて…ですが。
★をつけるなら★3.5(★5中)といったところかなぁ。キャスティング、ロケーション、映像美、音楽を含めて、平均以上の出来栄えだと思います。
まぁ、有名な古典作品の映画化は、作り手(供給側)と受け手(鑑賞者)の間に生じる問題(価値観・評価軸)が複雑なので大変だと思います。
と云うことで、公開延期と地震が織りなした複雑怪奇な絢によって、懐かしの映画館へ次男坊と行ったという話は、この辺で締めさせて頂きましょう。
住宅地の中の異空間にて
去る4月1日のこと。
午後からポッと時間が出来たので、臨戦態勢(新学期早々にテストがある)に入った次男坊に「2時間ばかり親父に付き合えよ!」と声を掛けてみました。
怪訝な顔をしつつも同意した彼を車に乗せ、そそくさと向かった先は、自宅から車で10分程の場所にある美術館です。
その名も「中本誠司現代美術館」。
冒頭の画像を一瞥すれば分かる通り、かなりエモい建物です。これが閑静な住宅地の一角で、曰く難いカオス感を静かに発散しているわけです。
名称を見れば分かる通り、いわゆる個人美術館ではありますが、一部の事情通(アートや建築に精通する人々)の間では良く知られており、かく云う私も、知人(カメラマン)の個展をきっかけに訪れるようになりました。
以降、訪れる度に感情を揺さぶられてます(微笑)。
中本誠司という美術家の生き様・価値観そのものを体現しているような建物ですから、好き嫌いという短絡的な物差しでは測れない力強さがあるのですね。
そんな感慨深い話から一転して、再び件の地震の話になるのですが…。
当初は、行先として宮城県立美術館を第一候補にしていたわけです。仮に、特別展が開催されていないにしても、常設のクレーやカンディンスキーの作品が鑑賞できれば御の字だと考えておりました。
しかし、あの地震が障壁となったのです。
それにしても、仙台市内にある公立の美術館・博物館の多くが、あの程度の地震で一時・長期を問わず閉館の憂き目に遭っているという現実ですよね…。
一県民として、ただただ無常を感じるばかりのデンキチ小父でした。
とまぁ、そのような理由から、今回は地元専門大学校の先生が「教員生活40年の蓄積」を披露している版画作品展覧会へ参じることにしたわけです。
でも、不本意ではありませんでした。
次男坊にも、この美術館の佇まいを見せてやりたいと常々考えていたので、有体に云えば、渡りに船と云うか、怪我の功名というか…そんな感じかな(笑)。
いずれにしても、私の猶予時間と次男坊のスケジュールが、近場の美術館を愛でるに相応しいタイミングに合致したと云うわけです。
さてと、展覧会の方ですが…。
幸いなことに、主催者であられる先生が展示室に詰めておられたので、素材や技法についてお話を拝聴することが叶いました(喜)。
特に、教員生活40年間に出会った生徒たちの作品を展示しているという点に感銘を受けました。やはり、継続することでしか得られない成果(蓄積)ってのは、揺るがない強さがあります(感服)。
いやぁ〜本当に心地良い刺激を受けましたよね。
私が生来の版画好きという点を差し引いても、商業的空気感をまとっていない作品が持つ純粋さは眩しくも刺激的でした(微笑)。
鑑賞を終えてから、帰宅の途上にある「焙煎工房がらしゃ」にてアフタヌーン・ブレンドを所望して帰ることにしました。
ご主人が豆を焙煎している音をBGMに会話も弾みましたね。静かな音楽も悪くないですが、ああした作業音もまた会話には好ましいと感じた次第。
美術館からの喫茶…黄金の流れを二人で堪能した2時間となりました。
春の雑感
そんなこんなの春の一幕。
結論としては「小さいことは良いことだ!」と云うことになるでしょうか。規模の大きさや豪華さは、ある種の脆弱さを内包していると…(寂笑)。
さてと、世は春たけなわの4月10日。
新年度・新学期と云った具合に、立場によって表現は変わるのでしょう。けれど「これから始まる一年」という時間の「量」に何ら違いはありません。
本年度も「質」を求めて淡々粛々の態で歩んでいきたいと思います。