【禁漁期のメンテナンス #02/R3:修繕の巻】切った 貼った 縫った!
「さぁ〜冬が来るぞ!」
と思いきや、11月中旬にしては暖かいような気も。
未だにアンダータイツを着用していないくらいですからね(恥笑)。体も正直に反応しているということなのでしょう。
とは言え、12月頭には高い確率で酷い降雪に見舞われるという当地のお約束を侮るわけにもいきませんので、心構えだけはしておいた方が良さそうです。
とりあえず「備えあれば憂いなし」ですね(微笑)。
話変わって、此度の記事についてですが…。ようやっと足回りのメンテナンスが終了したので、そそくさとまとめてみました。
こうした泥臭いメンテナンスは、文責を有する資料や原理原則(マストなルールやその筋の常識)も何もあったものではありません。
自分の経験と感覚を活用しつつ、費用対効果を鑑みながらの対処療法となりますので、それは正に創意工夫の独壇場です(笑)。
と云うことで、興味を持って一読された稀有で酔狂で賢明な方々にとって、何某かの参考にならんことを祈るばかりのデンキチ小父です(低頭)。
切った 貼った 縫った!
「足回り道具」のメンテナンスと云えば、私の場合はウェーダーとウェーディングシューズということになるでしょう。
下記リンクを覗いて頂ければ、今シーズンのメンテナンス開始の様子と道具の傷み具合等々について把握して頂けることでしょう。
此度のメンテナンスの概要は…。
ウェーダーは、ソックスの踵部分のシールが剥がれ始めていたので、その辺を補修すれば足りるといった具合。大したことではありませんね。
一方、今季デビューしたばかりのウェーディングシューズはさに非ず。10回の短時間釣行にもかかわらず、存外に傷んでおりまして…(苦笑)。
と云うことで、此度はウェーディングシューズの修繕風景をメインに綴って参りたいと思います。
1:ランドの浮き剥がれを修繕
10月1日以降、玄関で放置プレイに興じていた二つの道具。
十二分に乾燥した頃合いを見計らって…などと書けば格好もつくのでしょうが、実際は手が回らなかったというのが本当のところでして(苦笑)。
何はともあれ、去る11月3日の午後からメンテナンスに着手しました。
冒頭に記した通り、ウェーダーの補修は軽微だったので瞬時に完了しましたが、ウェーディングシューズの方は、勢いに任せるのは危険と考えて2段階に分けて修繕を行うことに決めました。
接着・圧着系の作業=短時間勝負は禁物ですのでね。確実性を求めるなら、それなりの時間を確保することが望ましいでしょう(微笑)。
修繕の初手として、ランド周りの浮き・剥がれを直すことにしました。
シーズン中盤頃ですかね…この状態に気付いたのは。口を開けた隙間に砂利が入り込み、シーズン終盤には無視できない状態になっていましたからね…。
まぁ、いずれ剥がれる運命にある部分ではあるのですが、余りに酷い状態の箇所もあったので、この状態のまま来季を迎えるのはヨロシクないと…。
そもそも、道具の寿命を能動的に短命にする必要はないですから。
加えて、損傷の存在を把握しているにもかかわらず、それを押して使うのは、場合によっては自らを危険に晒すことにも繋がりますし…。
こういう事柄は、危険予知能力と想像力を働かせることが望ましいでしょう。大らかであることは良いのですが、無頓着に過ぎるのは……危険ですね(微笑)。
ともあれ、修繕ったって、出来ることは限られます。
せいぜいゴム・皮対応のボンド(セメダイン社の製品等)を隙間に塗布してやって、しっかり圧着するといった程度の話ですから(微笑)。
2:トゥとミッド・ソールの剥離を修繕
ランド周りの補修が終わったら(十分な乾燥養生を終了後)、お次はトゥとミッドソールの接着部分の修繕です。
こいつは少々厄介でしたね。というか、この手の老朽劣化は、まぁまぁ有り得る事象なんですけどね(苦笑)。※10回しか履いていませんが…
でもまぁ、手立ては「剥離部分にボンドを注入して再圧着」といった具合に限られるので、悩むまでもなく実行に移すと(笑)。
私の場合、圧着にはL型クランプを使っています。
紐やテープで巻くといった方法では、圧着という水準には達さないと考えます(これまでの経験から)。
と云うことで、著しく型崩れしないように予めシューズの中に新聞紙等を詰め込んでから、板で挟み合わせて圧着するようにしています。
そして、このまま終日放置(養生)。
これも重要な工程ですね。
A・余談/フェルトの張替えについて
自分でフェルト底の張替えをして、短期間に剥がれるといった不具合を経験されている方の多くは、圧着方法のミスとゴム系対応のボンドの性質を正しく理解していないといったケースが多いように感じています。
各種ボンドには、それぞれにオープンタイムが設定されています。それをある程度守らないと、ボンドは接着能力を十分に発揮できません。
また、フェルトは初期的にボンドを吸うので、その辺を理解した上で、ボンドを重層的に塗布しなければなりません。※過去の張替え記事は下リンクにて
要は、フェルト面とミッドソール面に塗布されたボンドが理想的な状態に達した時に、堅実な方法で圧着しなければならないということですね。
面倒な作業ではありますが、一度でも経験しておけば、張替えのプロに支払う報酬が極めて妥当だということを真に理解できるはずです(微笑)。
3:ベロの解れを修繕
第1段階の修繕を終えてから間が空いてしまいました。
何故なら、ベストとまではいかずとも、モアベターな修繕方法を見つけるのに時間がかかったからです(苦笑)。
A・どのように直すのか?
問題となったのは、ベロの中央にある縫い合わせ部分の解れ。
このままの使い続ければ、解れが拡大するのは目に見えています。
裁縫上手のかみさんにアドバイスを願ったところ「現状、縫い合わせるのは無理だろう。」とのこと。まぁ、素人目にみても同じ見解でさぁね(笑)。
と云うことで、手持ちの道具となけなしの技術を叩いてできる事を考えましたよ。これが云わば、費用対効果=落し処=モアベターという奴ですね。
でもって、用意したのはシューズの基調カラーに近似したスウェード。こいつを患部にあてがうという戦法をとることにしたのです。
色味が微妙に異なりますが、この厚さなら何とか手縫いができそうだと(笑)。そんな感じでマテリアルを選びました。
B・戦闘開始!
意を決して修繕に着手したのは11月15日の早朝。
ここまでくれば頭の中に描いた手順を黙々と遂行するのみ。
駄目紙を使って型紙を作り、それを件のスウェードに写してから裁断。
この辺は、大らかに作業を進めてます。見栄えよりも作業性・納まりを優先するといった感じでしょうか。その方が、色々と融通が効くし(微笑)。
裁断したスウェードを現物にあてがいながら微調整を進めます。
自身の性格と裁縫技術のレベルを考慮して、ジャストサイズではなく納まりに対して逃げが効くにように加工しました(笑)。
そして、お次は接着です。
ここで使用するボンドは、レザークラフトを嗜んでいる方にはお馴染みのダイヤボンドです。強烈な接着力で知られてますよね(笑)。
他社のゴム対応型のボンドと似た性質・能力が備わっていますが、違いがあるとすれば、オープンタイムが短い(ほぼ無い)と云うことです。
いわゆる速乾性と呼ばれるボンドにカテゴライズされます。が、速乾性を謳っている他ブランドの中でも、かなり早期に乾燥するタイプだと感じています。
乾燥が早いということは、手際が重要になりますよね。
ボヤっとしていると、速攻で表面が硬化しはじめますから。
ベロとスウェードの双方に、ダイヤボンドを薄く塗布。多少のはみ出しは目をつむり、手早さを優先しましたよ(汗)。
そして、圧着ですね。
ボンド類を使用した時は「なにはさておき圧着」です。
これはクラフトマンにおける合言葉ですな(微笑)。
この場面では、ローラーで満遍なく圧着を済ませてから、一番浮いて欲しくないベロのセンター部分をL型クランプで圧着しました。
朝のうち(仕事前)に、ここまで進捗できたので見通しがつきましたよ(喜)。養生時間も十分に確保できましたし。
「早起きは三文の徳」とはよく言ったものです。
日中の気温が高かったせいか、乾燥状態は良好でした。この状況を以て当日(11月15日)の夜なべ仕事が確定しました(泣笑)。
微妙に色味が異なるスウェード…。
この段階では、切った貼ったの状態なので、多少の違和感は禁じ得ませんでしたが、少なくとも「納まるべくして納まるはず。」と感じておりました(微笑)。
C・次は裁縫だ!
そして迎えた同日の夕刻。
夜半を待たずに動き出したのは「上手くいくかどうかだけでも早く確かめたい!」という急いた気持ちからか、はたまた夜なべが嫌だったからか…。
相変わらずの気分屋っぷりを発揮しております(困)。
とまれ、昼間に仕入れた厚手布用の縫い針とボタン糸(手芸屋さんで手縫い用の糸で一番丈夫な糸と聞いた)を手に、久しぶりの返し縫いを開始(笑)。
かみさんが夕食(鶏の唐揚げ)を作っている目の前で、ブツブツ言いながら手を動かしていると「やっぱりお義母さん譲りだね。」と誉め言葉とも何とも言いようがないコメントを賜りました(苦笑)。
因みにですが…。この後、作業に没頭していた私は、揚げたての唐揚げを食べ損ねるという悲劇に見舞われました。これぞ自業自得という奴ですな(苦笑)。
切ることも、貼ることも、縫うことも…人生初ではありませんが、そこはやはりケース・バイ・ケース。此度も想定と実際との間に微妙な差異を感じました。
正直な話、薄いスウェードなので、もう少し楽に針を通せると思っていたんですよね。でも実際には、粘性の強いボンドの層を挟んでいるせいか、まぁまぁしんどい作業となりました。※結局、縫い針で下穴をあけてから縫う羽目に。
とまれ、此度の経験もまた「知見の地層」を構成する一部になってくれることでしょう。自らの手を動かす価値もまた”そこ”にあります(微笑)。
4:来シーズンもヨロシク!
明けて11月16日の早朝。
貼り付けたスウェードの表面やベロの裏面の状態を確認してから、靴紐を仕込んで無事に修繕完了とあいなりました。
でもって、修繕の出来栄えを撮影(冒頭の写真)したと(笑)。
その後、気休めの竹炭(吸湿&消臭)を投入(笑)。
そして、最後にボール箱へ収めました。
これで目の上のたん瘤がひとつ解消しました(安堵)。
ともあれですよ…。
予想を超えた老朽劣化の発現に驚くこともありましたが、他ブランドには感じたことがない相性の良さ(足型・軽さ・アンクルシャフトの高さが丁度よい)があるので、多少の不満や不安を抱えつつも、適時確認しながら大切に使っていこうと考えています。
と云うことで、不肖デンキチ小父のウェーディングシューズにも暫時休養の時が訪れたというわけですな…(感慨無量)。
来シーズンもまたHWの体を支えて下さいね(笑)。