イントロ以上 インプレ未満 の サクラマス用ロッド物語
過日は、心静かに鎮魂の時を過ごしました。
未来と過去の双方に想いを致しながら、そして幾許かの期待と解消することが無いであろう憤懣やるかたない思いを胸に歩んでいこうと思います。
予めのご案内になりますが、これから私的解禁日までの更新に関しては、オフ期間中に済ませる予定にしていた宿題ライクな記事に始終しそうです。
と云うことで…此度は、先年の追波川復活釣行に合わせて導入したサクラマス用ロッドを、遅ればせながら取上げようと思います。
相変わらずの長文・駄文(今回は特に筋金入り)ですが、お時間の許す方はお付き合いくださいませ。(分割読了大歓迎!)
イントロ以上 インプレ以下 の サクラマス用ロッド物語
先年の「追波川復活釣行」にして「新相棒の入魂釣行」から1年を経る前までに備忘録としてまとめようと考えておりましたが(一部の方々から要望もありましたし)、タックル語りを不得手とする私の遅延行為により、私的解禁間近のタイミングでアップする仕儀となりました(苦笑)。
故に、購入したロッドの紹介や使用感を書き残すに留まらず、去る大震災を境に、愛竿(UFM/SST-86H)を手放した男が、再びサクラマス用のロッドを手にするまでの道程を描いた「とある釣り師の再生物語」になっておりますので、悪しからずご理解を賜れれば幸いです(なんのこっちゃ!)。
1:本流サクラマス用に購入したロッドは?
小題の問い↑に対する答えは以下の通り。
SMITH のトラウトスピン・イルフロッソ88(TILF-88)です。冒頭の写真を一瞥してお分かりになった方も少なくないと思われます。
購入したのは、去る2020年7月末日のこと。
世はコロナ渦の真っ只中……から少し落着きを取戻した頃合でした。そう云えば、暑い夏でしたよねぇ…(遠い記憶)。
そんな鬱々とした閉塞感が充満する中、「2021年春の追波川復活釣行」に照準を合わせて、虎視眈々と準備しておったわけです。
2:何故にSMITH?!
さてと、ここで回避できない問題が提示されるわけですな。
それは「何故にSMITH?」という指摘です。
確かに、7ft以上のロッドに限って、重篤な「UFM病」に罹患している釣り師なれば、妥協にも似た選択だと揶揄されても仕方ありません(苦笑)。
がしかし…ですよ。
去る大震災以降、ホームリバーの上流域に足を運ばなくなった私ですが、かつてはバックウォーター用(サブ)として同社のマルチユースの4’2”UL(上画像:2003年頃のモデルを所有)を、そして渓流・里川用としてブンスイレイの5’6”MUL(下画像:2000年頃のモデルを所有)を使っていたので、ショートロッドに限っては「SMITH 免疫」が備わっていたのでした。
SMITHのロッドは、天龍のブランクを使っているということもあり、普通に信頼して使えていましたし、実際何の問題もありませんでした。
因みに、これら2本は中古・新古品で購入し、5〜6シーズンを共に過ごしてから手放しました。その間、十二分に活躍してくれたと感じています(感謝)。
おっと、昔話に花が咲く前に、話を本筋に戻しましょう。
さて、このイルフロッソ88ですが…。現時点でシリーズ全体が廃番となっており、「今更インプレって?」といった感もあります(爆)。
しかしながら、本稿の冒頭でお示しした通り、ロッドの紹介や使用感に主眼は置いていないので、このまま突っ走らせて頂きます!
3:イルフロッソという名前
実は、イルフロッソが発売された時、真っ先に引っ掛かったのが名前だったんですよね。イタリア語の名前ってトラウトロッドでは珍しくないですか?
ロッドの名前には、開発者の想いが込められているものですが、このロッドにも”それ”が色濃く表れているように思われます。
因みに、IL FLUSSO は「流れ」という意味ですね。
そして、セパレート・グリップの中央に挟まれたウッド(上写真の右上)に刻まれている「OLTRE IL FIUSSO」は「あの流れの向こうへ」「あの流れの先へ」といった感じに訳せるでしょうか。
とても雰囲気の良い名前だと思います(微笑)。
4:イルフロッソ88 の基本情報
情緒的な話はここまでとして、基本情報を記しておきましょう。何しろ、同社のHPから消えてしまったシリーズのロッドなので(笑)。
スペックは以下の通りです。
●Length:8.8ft
●Weight:157g
●Lure:〜28g
●Line:〜14lb.
●Power:Medium
●Action:Moderate Fast
●Grip Length:495mm
●Pack Length:134.5cm
●Blank Material:24t+30t+40t Graphite
●Blank Finish:Unsanded finish
●Tip Dia:1.8mm
●Price:¥68200(PBT)←要記憶!
更に、当時同社のHPに掲載されていた説明も引用しておきましょう。
本流サクラマスでの使用を中心とし、超ロングキャストや足場の高いシチュエーションにも適応させた長尺モデルです。
スプーン・バイブレーション・ダイバー・大型ミノーを主体とし、身体への負担を抑えることにも貢献させたアクション設定と長めのリアグリップ。
ロングロッドにありがちな持ち重りを軽減させ、高精度なアプローチ・水中情報の感知をサポートします。
バットパワー不足を解消させ、強い流れの中での大型トラウトとのファイトにも余裕を持って対応することが可能な一本です。
ティップガイドには大型のT-KTTG6を装着。リーダー結束部のトラブルを最小限に抑えた仕様としています。
上記説明で、早々に合点がいった項目を太文字にしました。まぁ、この辺の内容は、本稿の後半にて綴って参ろうと思います。
また、赤太字のガイド仕様については追記しておくと…。
全てのガイドが富士のチタンフレーム・トルザイトリング仕様で、ティップセクションの上から4つが6で、トップが7と云った具合に、トラウトロッドにしては口径が大きく設定されています。
ここ数年来、ガイドの小口径化を謳うロッドが席捲する中にあって、男気!?を感じさせる設定ですよね。個人的には歓迎しています。
にしても、この辺の設計思想って、常に揺り戻しを繰り返している風にも思えてしまうのですが、実際はどうなんでしょう?。(販促の一方策か?)
5:購入至るまでの経過
さて、ここから紆余曲折の物語に入ります。
2021年の追波川復活釣行に向けて次期愛竿となるロッドを物色し始めたのは2019年に入ってからのことでした。
鼻から新品を買うつもりが無かったことから、状態の良い出物(中古・新古・型落ち上等!)を発見すべく、中古釣具を扱っている釣具屋さんを筆頭に、中古釣具販売サイト・ヤフオク・メルカリ等を適時チェックしていました。
新品のロッドで価格の推移を観測(2019年の6月頃から)していたのは、イルフロッソ88のみでしたね。(正直、10〜20%程度の値引きでは買えない。)
因みに、イルフロッソ88を選択肢に入れていた理由は、釣具屋さんで触れることができたロッドの中で「嫌な要素が一番少なかったロッド」だったからです。
正直、最初はSMITHのロッドを選択肢には入れていませんでした。
その理由は、かつて釣具屋さんで手にしたインターボロンXX/IBXX-88MSD(上画像)の印象が頗る芳しくなかったから……です(御免!)。
曰く難いもっさり感と持ち重り感を覚えたのですね。
因みに、ラグレスボロン/TLB-83DT(下画像)も手にしましたが、私には硬すぎでした。使いこなしているイメージが湧きませんでしたね…。
でも、イルフロッソ88からは、そうした不安要素が感じられなかったと。
加えて、リール・シート(下画像)がダウン・ロック式で、且つ金属の露出が少なく、近年では珍しいガイド・セッティングも琴線に響きました。
こんな理由から候補入りしたと云うわけです。ったく、釣りに限ったことではありませんが、道具選びってのは好みと予算に支配されますね(笑)。
そんなこんなのロッド選びでしたが、特に中古ロッド探しに関しては、思い通りにならない辛さと面白さもありました(笑)。
中古釣具サイトやヤフオクをチェックし始めると、結構な頻度で「かつての愛竿 SST-86H」を目にしてきましたが、状態の割に価格が強気だったり、はたまた老朽の程度が著しかったりと………。
まぁ、いずれのパターンも想定内でしたよ…勿論。さわさりながら、厳しい現実を突き付けられた感はありましたよねぇ…(懐笑)。
美品かつ激安のSLT-86Hを発見したメルカリに至っては「夫に黙って出品します。多分気付かないと思います…。」と云ったコメント付きで(苦笑)。
然しものデンキチ小父も、見知らぬご家庭の夫婦喧嘩を誘発させるような因果な買い物はしたくなかったので手を伸ばしませんでした。
さて、イルフロッソ88に話を戻しましょう。
Amazonで価格推移を観測し始めてから1年を経ようとしていたタイミングで、割引率が高くなってきたのですね。
世に云うサクラマスの盛期を過ぎた7月に入った途端、イルフロッソ88の値引き率が40%越えを記録しました。(廃番の気配を察知)
「これはどうなるんだ?」と淡い期待を胸に価格の推移を伺っていると、7月の最終週に至るや否や「46%引き」との朗報が届きました。
もはや、来る21’シーズンへの段取りを考えても「今が買い時!」と判断するに至り、神妙な面持ちでポチっ!とクリックしたのでした(笑)。
税込み定価 ¥68200 が ¥36000(端数にポイントを利用)ですからね。然程の状態ではない同ロッドの中古品を買うより安かったと感じています。
これもまたご縁という奴なのでしょう(微笑)。
6:「新相棒」が与えてくれた「ゆとり」
話は、購入するロッドを決める前に遡ります。
前項で記した通り「かつての愛竿の残像」を追っていた私でしたが、実際にご縁を賜ったのは、SSTとは明らかに性質を異にするロッドでした。
ただ、こうした「理想と現実の差異」を前向きに捉えられた要因のひとつに「自作の鋳造スプーン」と云う存在がありました。
本項では、この点について触れていきたいと思います。
予てから「21’追波川復活釣行」を契機として「自作ルアー100%でサクラマス釣りを完結させる!」という実力不相応な野望を胸に抱いておりました。
その「分の悪い試み」を果たすためには、スプーンの自作(若しくはスプーン的な使い方ができるルアー)が不可欠となったわけです。
とは云え、厚い鉄板を加工する手立てがない私です。考えた末に、鋳造という原始的な技法に活路を見い出したわけですが、ことは都合よく運ばないと…。
逡巡の原因は、ウェイトでした。
そうなんです…。
使うロッドが決まっていないことが災いして、自ら製作する鋳造スプーンのウェイト設定を先に進めるわけにはいかなかったのですね…。
また、鋳造という技法を使うと決めた段階で、狙い通りのウェイトにアジャストさせられる確固たる自信が無かったのです。※造形を施したかったので、更に差異が出る可能性が高かった。
サクラマス釣りから離れていた10年間、漠然と「運よく中古のSST‐86かSLT82あたりが手に入ればいいなぁ〜。」などと考えていた私でしたから…。
なので、これらのUFMの中古ロッドを想定(へたっている可能性大)すると、メタル系のルアーであればMAX21g以下は尊守しなければならないと…。
※参考:SST- 86H/SLT-82HはMAX25g
ロッドが決まらないと何もかもが定まらない感じ…。
この課題で逡巡していた時は、「自作ルアー100%でサクラマス釣りを完結させる!」という野心的な目標を掲げた自分を恨みました(笑)。
そんな宙ぶらりんな状態を、イルフロッソ88が解消してくれたわけですね。
様々な与件や自分の想いに折り合いをつけた7月30日未明、キーボードのENTERを押した瞬間の心拍上昇は今も忘れません(笑)。
まぁ、そこそこのシーバスロッドでも良かったのですが、「10年間に溜め込んだ想い」との折り合いがつかなかったのですね(しみじみ)。
そして、ロッドが無事に到着!
暫くの間、触りまくりましたよね(笑)。パワーや調子を手元で感じながら「これなら、少々のウェイトオーバーも許容してくれるぞ。」と確信しました。
こうして逡巡とプレッシャーから解き放たれたというわけです。
そこで、メインモデル(慈光)の目標ウェイトを23g前後とし、もう一つのモデル(厳光)を18g以下に定めて設計・デザインすることにしました。
さわさりながら、検討用のたたき台を作る段階で23gに設定してしまうと、本域モデルでは容易に25gを越えてしまう(造形による表面積や質量の増減・シェル貼り・コーティングによるウェイト増加)ことが想定されたたので、あくまでもたたき台の段階では21gという枠を超えない様に留意して試作を開始しました。
その辺の経緯は、上のリンク先に記した通りです。
原型作りを8月下旬から初め、御馴染みの七転八倒を経て10月末に原型が完成しました。この時ばかりは安堵しました。(復活釣行への見通しが立ったから)
この一連の出来事を通して、一本のロッドとルアー関係性(親和性みたいな感じ)について考えさせられたとつくづく感じているところです。
そこに、ライン・システム(ノットやスイベル・スナップなどの備品)やリールのセッティングが絡み合って自身の釣りを構築しているわけなので、どれ一つとしておざなりにはできないと痛感させられました(微笑)。
7:とどのつまりの初期インプレ
ここまで7000文字に迫るテキストを読むという苦行に耐えて頂いた、稀有で酔狂で賢明な読者の皆様に感謝を申し上げます(感服)。
本稿の締めとなる初期インプレは、デザートよろしくサラッと綴らせて頂くつもりではおりますが……果たしてどうなることやら?!
去る記事(下のリンク先)でも記した通り、私の想像を超えてパワフルでした。それが、実釣を終えて感じた一番の特長だったと言えます。
復活釣行で私が選んだ釣り座の状況やヒットさせた時刻から、のんびりと釣り味を楽しむ猶予が無かったので、やりとりの終盤には、かなり強引にリフトアップしたのですが、まだまだ余裕を感じさせる曲がり具合でしたから…。
タメの効いた靭性というよりも、余力を残した剛性を感じさせる…といった印象ですね。恐らくメーターオーバーの鱒族が射程に入っているのでしょう。
とは言え、あのもぁっとした魚信に合わせを入れられたのは、何もPEラインの恩恵(当然大きい)だけではないと思います。←相互扶助
そして、60を超えるサクラマスの硬い口に、厳ついフックを貫通させることができた事実を鑑みれば、ロッドの恩恵を認めないわけにはいきませんよね。
端的に云えば、昨今そこかしこで耳目にする「ソフト・ティップ & ハード・バット」の本領発揮といったところでしょうか(微笑)。
この追波川復活釣行・初戦以降、本命のサクラマスに出会う事はありませんでしたが、後の釣行でチーバス(40と50UPを一尾づつ)を獲りました。
この魚種・サイズになると、正直のところ「釣り味」は良くなかったですよね。単純に「竿が強すぎる」といった感想を持ちました。
さてと、これから初期インプレの核心に入りますよ(笑)。
このイルフロッソ88の使用感を語る上で外せない項目「大口径ガイド」について触れないわけにはいかないでしょう。
前段で掲載した「リーダー結束部のトラブルを最小限に抑えた仕様」という謳い文句に嘘はないと感じています。
私は、投げるルアーの種類やウェイトに因らず、1本のロッドで釣りを完結させたいタイプの釣り人(五目的な釣りになる海は別ですが)なので、ライン・システムについては中庸な考え方で組むようにしています。
例えばそうですね…。※釣り座にも因る
10g前後のミノーだけを投げるならPE0.8号+リーダー10〜12Lb。そして、スプーンやジグ、バイブレーション系を多用するならPE1.2号+リーダー16〜20Lbといったセッティングにしたいのですが……。
前出の通り1つのタックルで完結させたいので、双方の間をとってPE1.0号+リーダー12〜16Lbといった折衷案的ライン・システムにしています。
といった感じなので、16Lbのリーダー(ロッド表記:MAX14Lb)を試しに使ってみた際にも、結束部分(FGノット)のガイド抜けに関しては良好で、ストレスや懸念を感じることは皆無でした。
では、全くトラブルが無かったかと云えばそんなことはありません。
キャスト時の風の状態(強い向かい風)やルアーの種類やウェイト、ラインの垂らし具合や自身のキャスティング技術といった与件が影響したのか、PEがトップガイドに絡んだことが何度かありました。
まぁ、「トラブルが皆無」ではなくて「トラブルを最小限に抑えた〜」ですからね。アングラーの側で良きに計らえば問題無いのでしょう(微笑)。
いずれにしても、大なり小なりの不満を抱えながらも使い込んでいくことで、この新相棒イルフロッソ88の印象も変わっていくはずです。
そんな前向きな変化が我が身に起きるのを淡く期待しつつ、心明るくサクラマス釣りに興じていこうと思います(微笑)。
長い長い物語の締め
ここまで書き散らかしておいて何ですが、タックルを語るに相応しい語彙が不足していることを、ものの見事に露見させていまいました(爆)。
とまれ「タックル語り嫌い」を標榜する人間としては、本領を発揮したとも言えますが、それは詭弁に過ぎないでしょう。
誠に申し訳なく思っております、ハイ(猛省)。
と云った処で、一旦締めさせて頂きましょう。
ご精読ありがとうございました!
稀有で酔狂で賢明な読者(アングラー)の皆様にありましては、良き解禁の月をお過ごし頂きますよう、心からお祈りしております!