デンキチの木片小魚物語3

Sprout Lures の製作記録と喜怒哀楽日記

22’ Spring Collection【掌の中で育まれた木片小魚たち】

 春もたけなわ

 とは素直に喜べない今年の春(苦笑)。

 それはそれとして、今オフ最後の宿題にして、製作者のマスターベーション?!とも云える「22’ Spring Collection 」を開催させて頂きましょう!

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1:For Parafucho perryi

A:Itoyo-60F²S² Hinoki

 今オフきっての「渾身の作」となりました。

 製作中の逡巡や紆余曲折の時間を経て、成長の余白を感じ取ることができました。悩んだ分だけ、健全な自信や欲求が新たに湧いてきたと感じています。 

 Spec

  • Length:60㎜
  • weight:≒9.0g
  • Type:Fast Sinking
  • Action:W&R(slow retrieve)
  • Collar:BWS(brackish water special)

 ※ F²S²:Flat Side/Fast Sinking の略

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 次回は、本作と同じマテリアル(ヒノキ・箔・ウレタン等)を使いつつも、リップレスでは無いタイプのルアーを作ることに決めています。

 また、仕上げ方も更に技巧的で緻密な方法を探っていこうと考えています。勿論、ハンドメイドルアーの肝とも云える手作り感を残しつつ…ですね。 

 ちょっと今から興奮しております(笑)。

B:Itoyo-60F²S² Balsa

 そしてお次は、同じ型から作ったバルサ・モデルです。

 Spec

  • Length:60㎜
  • weight:≒8.5g
  • Type:Fast Sinking
  • Action:W&R
  • Collar:Lake Bait/Orange squash 

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 だけではなく、ウェイト(量・配置)や内部構造線も全く同じなので、造形仕上がりといった目に見える部分以外の異なりを挙げれば「ブランクの比重差」と云うことになるでしょうか。(勿論、リップの有無も大きな違いですが…。)

 因みに、一般的にヒノキの比重:0.41に対して、バルサの比重:0.1なので、その差はルアーの性質に大きく影響するのは間違いないでしょう。

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 これまでもヒノキ材を使ってルアーを作ってきましたが、数多の失敗を通して、ようやうヒノキという素材の特性が分かってきました。

 特に今回は、同型のバルサ・モデルと並行して作った事で理解が深まりました。

 やはり、多種多様な素材ルアーへ転換させるには、各素材が持つ根本的な性質を踏まる必要があると痛感させられました。

 日々是精進ですね(微笑)。

2:For O . Masou

A: 如意櫻

 今回は、前作ライトウェイト・モデルを踏襲して製作しました。

 マイナーチェンジした点は、リップのセッティングです。

 極些少な変更ではあるけれど、如意櫻完成度が上がってきている最中の調整となったことから、私の中では危険な香り漂う賭けとなりました。

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 Spec

  • Length:90㎜
  • weight:≒10.5g
  • Type:Sinking MD
  • Action:W&R
  • Collar:BWS/山桜

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 お風呂場スイムテストレベルでは、アクションが大人しくなったことが見て取れましたが、飛距離地味にアップしているのではないかと(希望的観測)。

 まぁ、その差異は実釣で体感できるはずです。

 この辺の調整が嵌ってくれば、23’シーズン(気が早すぎ!)で如意櫻完成形が捻り出せるのではないかと睨んでおります。

 って……これも捕らぬ狸のなんとやら……ですな(苦笑)。

B:鋳造スプーン 慈光・厳光

 本作で2回目となる鋳造スプーン

 記憶から消し去り難い「分節の時」に思いを致しながら鋳造作業に没頭することで、自身の気持ちが定まるという効能を感じ始めています(微笑)。

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 Spec

  • Length:慈光 54mm/厳光 43mm
  • weight:慈光≒23g/厳光≒15.5g
  • Collar:純金箔桃鮑

 ※厳光の一部に洋金箔を使用(例・下写真右側)

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 前作から変えた部分と云えば、下地色(ピンクの類似色)を塗布したこと位でしょうか。若干ですが、色彩に深みが出たと思います。

 今回は、貝の薄板ではなく廉価なアワビシートのみを使ったので、安直な印象は否めませんが、コスト的にも作業的にもコンビニエンスな割に艶めいてくれるので、使い手の工夫次第で化けると思います。

 こうした創意工夫を試すのも次回作の課題ですね。

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 そうそう、課題と云えばこちら ↓ も同様で…。

 それは、シリコン型の劣化ですね。

 今年の夏から秋にかけて、新しいシリコン型を複製するか、若しくは慈光・厳光とは別の原型を新たに作るかを検討していこうと思います。

 と云った具合に、手仕事は意図せず続いて行くのでした(微笑)。

22’春コレ雑感

 いつまで続くか分からない混沌と、いつ起きるか分からない災害混然一体となっている状況に、いささか疲れを覚え始めています(苦笑)。

 こうした世況を鑑みつつ、21’冬コレの雑感から再び”この言葉”を引用して22’春コレを締めさせて頂きましょう。

 「たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植える。」

 何事にも一喜一憂せず、気概を持って手を動かしていく所存です。 

◆ 21’冬コレ

◆ イトウ用ミノー製作の七転八倒の物語