【鹿角 悶絶遊戯 #01】ツノを学ぶ
相変わらず、東奔西走の日々を過ごしております。
さわさりながら「昨年の今頃」を省みればですよ…。この想定外の繁忙状態に安堵を覚えているというのが正直なところです。
がしかし、この状態のまま「恒例 お盆前後のドタバタ劇」へ突入してしまうのだけは、是非にも勘弁願いたいものです(苦笑)。
嗚呼〜釣りに行きたい!
心の声を声高に叫ぶのは、ここまでにしておきましょう。
当時の記憶(喜怒哀楽の情や感慨・感想、そして学びや考察等)が薄れる前に、備忘録をしたためておく必要がありそうです。
という事で、去る6月27日から始まった鹿角との悶絶遊戯の道程を綴ってみようと思います。お時間の許す時に一読下さいませ。
ツノを学ぶ
動物の角や牙(歯)って面白いですよね。
彼らの種別(類・科・目)に因らず、役割や機能は近似しています。しかし、同じ角であっても形状や材質そして成り立ちが異なっている場合が多く、それぞれの遺伝子的な違いを肌で感じることができるパーツであると言えるでしょう。
此度は、北海道のアングラー ゆっきーさんが採取してくれた「落ち角」に触れながら「角の不思議」について学んだ…という話を綴らせて頂きます。
1:まずは鹿角を切る
手元に鹿の角が届いてから、何らかの作業に着手するまでに、かれこれ2ヶ月以上の月日を要してしまいました(苦笑)。
元より、考えるよりも手を動かす方を指向する側の人間なのですが、この歳にもなれば、己の得手不得手は心得ているもので、これまでの拙い経験から「何も考えずに手掛けるのは危険」だという気配を察知しておったわけです(笑)。
ともあれ、この休眠にも似た時間で、頭に描いていた構想(妄想ともいふ)の実現性を見極めることができたのは幸いでした。
そんなこんなの時間を経て迎えた6月27日。
いよいよもって鹿角を切り分けてみることにしました。
地味で存外に汗をかく作業になりますが、我が本業で云う所の「木取り」にも似た作業なので、頭を使う楽しさがあります(笑)。
2:鹿角を切断する道具の例
道具と言っても特別な物はありません。
硬い(堅い)物を切る道具は限られますから(微笑)。
手慣れた方・腕に自信ありの方であれば、電鋸(丸ノコ)でも良いでしょうし、ディスク・グラインダーでも問題ないでしょう。
私も、先々の工程を鑑みて、ディスク・グラインダーの替えディスク(超安価版)を買い足しておきました(笑)。
注意喚起:切断用途の電動工具は、使い慣れた方に限ります。
例に挙げた電動工具は、何れも事故(怪我)のリスクを軽視できない工具でもあります。本ケースの場合は、不規則な形状をした硬い材料を相手にしなければならないので、自身の練度は勿論のこと、工具のパワーと材質を考えて扱わないと、その後の生活に支障をきたすような怪我を被ることになりますので注意を要します。
で…私はですね…。
此度は鹿角を切り分けるだけなので、手鋸を選択しました。
その代わりと言ってはなんですが、堅木用の替え刃を使いました。(表面の硬い角芯に負けて刃がこぼれるのが嫌だったので。)
電動工具との大きな違いがあるとすれば、自らのパワーが動力となるので、カロリー消費が大きいということでしょうか(笑)。
とまれ、何れの工具を使うにしても、角というパーツの性質上、お世辞にも刃が入り易いとは言えない材料だということに留意しなければなりませんね。
3:鹿角の断面
シカ科の角は、袋角と呼ばれる薄い皮膚の中で育ち、毛細血管がカルシウムを運ぶことで角を成長させていくそうです。
それは、鹿角の断面(下写真)を見ると分かりますよね。血管の痕跡を示す空隙が根元から先端にかけて続いていますから。
加えて、成長した鹿の角の表面は、硬質な角芯(かくしん)が露出しているため、前項で記した通り、とても刃が入り難いというわけです。
これらは、象徴的な角をもつウシ・サイ・キリンといった動物とは大きく異なっている点だと言えるでしょう。(そもそも彼らの角は抜け落ちないし)
鹿角の断面の性状は、部位によって異なります。
上写真は、角の先端部(角芯に厚みがある)で、下写真の方は、根本に近い部分になっています。根元の方が太いですが、空隙の範囲が大きいですよね。
加えて「生きている鹿から切り取った角」と「落ち角」とでも異なるといわれています。(当然、鹿の成長段階・健康状態によっても違うでしょう。)
今回頂戴したのは「落ち角」であり、内部の空隙が多いことが予見されました。よって、使い方を勘案する必要があったというわけです。
4:さて…どうしようか?
切り分けた鹿角の各部位の状態を確認した後、一旦「思案の時間」を設けることにしました。まぁ、何ていうか…毎度のことですな(笑)。
私自身がアクセサリー(着飾るための品)を身につけるタイプの人間ではないので、装飾品の類を製作しようとするモチベーションが低いんですよね…。
だからといって、空隙部の範囲が大きいため、強度が加わるような物を作れそうな感じもしない…と。(空隙部は強度が低いため)
結局「作れる物を作る」ので、なく、駄目を承知で「作りたい物を作ってみよう!」という考えに至り、7月17日から悶絶遊戯を再開させたのでした。
5:動き出した手と頭
「作りたい物を作る」と決めれば、後は手を動かすだけなのですが、それが初めての試みとあらば、劣化が著しい我が脳みそも同調させなければなりません。
頭の中で計画した事を実現するのは楽しいものです。そして、こうしたアクティビティーを更にスリリングたらしめるのは「予測外の出来事」だと言えるでしょう。
7月20日現在、かなり完成に近づいた格好になっていますが、此度もかなりスリリング度が高かったですね(笑)。
紆余曲折を経ながらの作業は新鮮で楽しくもあり、新たな刺激と気づきを与えてくれるので、自身の活性が上昇している様子を感じることができました(微笑)。
特に、此度の初作は、出来不出来に関係なく(ゴメン!)ゆっきーさんに進呈しようと決めていたので、粘り強く作業を進めることができたように思います。
とまれ、何を作っているかは…今暫く秘めておきましょう。
というか、見る人が見れば一発で分かるかな(微笑)。
いずれにしても、完璧な仕上がりで完成するとは言えない代物ではありますが、心のこもった御礼ができれば幸いです。