【22’ 魚+鬼の宿題 #05】木片イトヨ 塗装から開眼へ!
「静かなひと時」を過ごせる喜びよ……。
それがたとえ僅かな時間であるにせよ、何ら大きな心配事もなく、身の危険を感じることもなく、目の前の作業に集中できる幸せよ……。
怨嗟の炎が立ち昇る戦地を逃げ惑う人々のことが脳裏に浮かんだ刹那、J.S.Bachの「主と人の望みの喜びよ」が頭の中で流れました。
「祈るだけの日々」が過ぎるばかりです。
木片イトヨ 塗装から開眼へ!
今回は、イトウ狙いのミノー Itoyo-60 F²S² のバルサ・モデルの進捗を中心に備忘していこうと思います。
もう早、解禁3月を迎えようとしている時にもかかわらず、2月中旬〜下旬の話に始終しますが、お時間の許す時にでもご一読賜れれば幸いです。
1:バルサ・モデルの塗装
ヒノキ・モデルとは正反対の「シンプル & コケティッシュ」な仕上りを目指しているバルサ・モデルですが、進捗の程はどうでしょう(微笑)。
話は、去る2月13日に遡ります。
此度は、下地調整後の下地塗装として、久しぶりにシルバーを塗布(バックとベリーの双方に)してみました。
と云っても、大した動機はありません。単に、最近仕入れたクレオスの新作シルバーを使ってみたかっただけなんです(笑)。
実の処、10年程前までは、アルミの境界を目立たせなくするためにシルバーを吹いていたのですが、ここ6〜7年前から止めていたんです。
その理由は2つあって…。
- 境界を消す必要を感じなくなった。
- 発色を優先した。
といった具合に整理できるかなぁ。
上写真は、シルバーの上に基本色のイエローを吹いた状態を示していますが、やっぱり発色が今一つなんですよね…。(吹き重ねてもくすみがち)
特に、チャートカラーで仕上げようとするケースで、シルバーの上にいきなりチャートを吹いてしまうと自分好みの発色にはならないのですね。
ってなわけで、こういうケースでは、シルバーの上に仕上げカラーの近似色を捨て塗りしてから仕上げカラーを塗布しています。
まぁ、諸事万事において、作り手の数だけ異なる考え方が存在する(異なりの濃淡はあれど)ということですよね。
とどのつまりは、自分が納得する方法を見つけて、紆余曲折を交えながら突き詰めていくことに尽きるのでしょう(微笑)。
2:ペイントアイを押印
仕上げカラーの塗装を終えたのは2月14日。それから色止めを挟み、開眼式に漕ぎつけたのが2月15日未明のことでした。
何の因果か、一番バタバタしていた時期に、ペイントアイというセンシティブな作業をブッキングしてしまった感もありましたが、心地良い緊張感と集中力が維持できていたので、「ままよ!」とばかりに手掛けることにしていましました(笑)。
まぁ、”こういう時”もありますね。
カラーは、馴染む系と目立つ系の2タイプに絞りました。
そもそも、初作のトライアル・モデルということで、このバルサ・モデルに関しては太めと細め(ブランクの厚さ)の2タイプを設定していますし…。
なので、カラーバリエーションを増やしたとて、バランスよくお渡しできる保証も何もあったものではないと。(同じ色2本になる可能性も!?)
合理的に考えれば4本とも同じカラーにした方が良かったのでしょうが、いつもの気まぐれが発動してしまったと云うわけです(苦笑)。
と云った具合に、あれこれ考えながら楽しく作業しておりますよ。
3:トップコートの前段取り
ペイントアイを終えたら、後は一気にゴールを目指すのみ!
ってなことを書いておりますがぁ…。
実際には地味〜なことばかりやっています(汗笑)。
色止めの合間に、アイ周りのチェックがてら掃除を済ませ、いつも通りに脱脂してから、改めて色止めを重ねていくわけです。
とにもかくにも、せっかく仕上げたペイントアイが、セルロースのディッピングで色流れしてしまったら元も子もありませんからね。
色止めの工程は端折れません。
そうそう、色止めで思い出しました。
冬になってからハンドピースの動作感が悪くなったんです。特に、色止め専用で使っているトリガー式のハンドピースが酷いんですよね。
思いつくままに因子を挙げていった結果、エアテックス社で販売しているハンドピース専用グリスが悪さをしていることが分かりました。
同社のグリスは粘性が高く、低気温下では固まりやすい傾向があるようです。※これまで使ってきたクレオス社のグリスとは真逆な使用感。
なので、室温が低い状況下(といっても10℃以上)でハンドピースを使おうとすると不具合が生じる(ボタンやトリガーの動作が鈍くなる等)と。
だから、最近はストーブで軽く温めてから使うようにしています(上写真左上)。これではグリスを使っている意味がないのですがね(苦笑)。
ここ何回か使ってきた印象としては、ハンドピースという道具と用途に適した品質とは思えないので、使い切ってはいませんが買い替えようと考えています。
私にしては珍しい判断を下すことになりそうです(微笑)。
私的読書史:2月下半期
ひと山越えたことで、読書の方も随分と捗りました。
心に余裕が生まれたからなのか、2月の下半期は「製作意欲に繋がる資料的な本」ばかり所望してしまいました(苦笑)。
リストは以下の通り。
- 立体で理解する美術解剖
- 筋肉・骨の動きが分かる美術解剖図鑑
- 魔除け百科・世界編
- 魔除け百科・かたちの謎を解く
美術解剖系の本は、正に資料ですね。
似たような本(かなり古い)を複数冊所有していますが、今回借りた本は、何れもアプローチや表現が多彩ですし、写真やイラストがカラーなので、直感的にイメージしやすいですね。良く出来ていると思いました。
一方、魔除けの本は「モチーフ探し」といったところでしょうか。
こうした本を読むと、国や人種、宗教に因らず、人間は似たような事物に対して畏怖の念を感じているという事実に触れることができます。
ならば、人間は国や人種や宗教や肌の色や性別や貧富の差に因らず、互いの間に存在する障壁を越えていけるはずなのですが、現実はさに非ず…。
最近、グローバリゼーションという言葉を反芻しています。
日本では1987年頃から使われ出したそうですが、彼の国で始まった戦争に視線を転じれば、この耳障りの良い横文字が、実は空虚で陳腐な言葉であったことを示しているように思われてなりません。
とまれ、私の青臭い感慨よりも現実を見るべきでしょう(自嘲)。
チャイナの更なる増長に対抗しうる「魔除け」はないものでしょうか。光明が見えなぬまま、懸念だけが増幅するばかりのデンキチ小父でした。