【22’ 魚+鬼の宿題 #01】木片イトヨ 始動!
「魚偏に鬼」と書いて「イトウ」と読むことは、アングラーの間では周知の事実ではありますが、端末による文字変換の世界ではさに非ず(笑)。
ワードパッドを使っても出てこなくなったもんなぁ…。当用漢字ではないとは云え、イトウという魚にアジャストした漢字なので残念至極。
手で書けばなんて事はない漢字「魚+鬼」ですが、高度なマルチタスク化を果たした端末をもってしても変換できないという些細な矛盾を感じる今日この頃。
…ってなわけで、此度はワンオフ・ルアー製作におけるアナログでメローなマルチタスク?!の様子を詳らかにしようと……。
と云うか、拙ブログでは毎度の事でしたね(苦笑)。
くだらない冗談はともかく、さっさと本編へ参りましょう。ルアー作りに興味のある方、お時間の許す方は、どうぞご一読くださいませ。
木片イトヨ 始動!
オフ期の恒例となっているイトウ狙いのミノー製作。
来春を見据えて11月下旬から着手しておりました。此度は、デザインからブランクの木取りまでを備忘しておこうと思います。
1:イメージを形に
無から有を生み出す行為(本稿ではルアー製作)の第一歩は、概ねスケッチ的な作業から始まることが多いと思われます。
勿論、初期段階では頭の中でイメージを膨らませるという過程もありますが「そこからの一歩」に欠かせない所作は「筆を手にして描く」ことになるはずです。
もっとも、当世ならタブレットを使うことが普通かな(微笑)。
かく云う私も、長らくワコムのペンタブレットを愛用してきた人間ですが、頭の中の想像を初めて視覚的に表す時には、やはり筆を手にしてしまいます。
まぁ、巨大な電算機からパーソナルコンピューターへ変化していく中を、溺れそうになりながら泳ぎ続けてきた世代の人間なので、アナログとデジタルの間を自在に行き来することができるというのも利に働いていると思いますが…。
まぁ、いずれのツール・方法を採るにしても、私の場合は「ながらスケッチ」になるのが定番でして(苦笑)。
TVや音楽を聴きながら…なんてのは勿論のこと、何かの作業(仕事)をしていて集中力が途切れそうになった時とか、車の中で待機している時間(昼食や時間調整等)を使って描くことが多いですね。
そして、素描の最中は、フォルムやサイズといった外観的な事柄ばかりではなく、様々な与件に対してフォーカスしていくことになります。
その一つに「装着するフックの検討」がありますね。
フックは、狙う魚の性質やサイズ(重さ)、釣り方や好み等によって定義されるので、ルアー製作の初期段階で想定しておいた方が良いでしょう。
といった具合に、地味〜なルアー製作の場面にあっても「人間版マルチタスク」が発動しているわけです(笑)。
同時並行的に様々な事柄を検討・解決しようと試みているわけですから、程度・水準は違えど立派なマルチタスクですよね。
それも端末側の発信による受け身なマルチタスクではなく能動的なマルチタスクですから、自身のスキル・知見を高めることに直結するに違いありません。
とまぁ、そんな風に考えていると、人間ならでは感性や六感をフル活用して生きていきたいものだと改めて思うわけで……。
かの「フェルマーの最終定理」とて、優秀なスーパーコンピューターではなく、ドイツ人数学者の7年に渡る手計算で最終解決をみたという事実を思う時、人間の底知れぬの能力(根気・執念)と壮大な浪漫を感じてしまうデンキチ小父なのでした。
2:材料の検討
デザインをブラッシュアップしていくと、より具体的な事柄(マテリアル・内部構造線・ウェイト量や配置バランスなど)を検討することになります。
もっとも、ブランクのマテリアルについては、当初から使用する材料を決めていることが常なのですが、何しろ気まぐれな人間なので最後まで分かりません。
此度も、メーターに迫る(超える?!)魚を狙うミノーを製作するわけなので、バルサではなくエゾ松を使おうと考えていたのですがぁ……。
馴染みの建具屋さんから、タイミング良くヒノキの端材(柾目・5㎜厚)を貰ったので「エゾ松 やめっかなぁ。」となりました(爆)。
とまぁ、与件に関する検討やらマテリアル選択の紆余曲折に伴って、デザインの方も微調整を繰り返す羽目になりましたが、なんとか最終形に辿り着きましたとさ。
3:テンプレート作り
冒頭でも記した通り、私にとってイトウ用のルアー製作は、恒例行事になっていると同時に、ワンオフ的な作り方を楽しめる機会になっています。
ワンオフモデルの良さは、好奇心の赴くままに手を動かせることでしょうか。妄想も膨らみやすいですし、実験的な要素も強いですので、純粋に楽しいですね。
そんな自由闊達な雰囲気のワンオフモデルの製作ではありますが、基準となる型作り(テンプレート類)は欠かせません。
テンプレートは、ある意味データですよね。外形だけではなく、内部造作の基準にしたりと、その役割は多岐に渡ります。
というわけで、試作やワンオフ的なモデルの場合でも、後工程で困らない程度(精緻なレベルではありませんが)に作るようにしています。
4:ブランクの切り出し
各仕様が決まると、いよいよ本格的な製作が始まります。
で…ここで再び気まぐれが発動してしまいました(困笑)。
これまでのモデルよりもダウンサイジングさせていることもあって、ヒノキの比較対象としてバルサのモデルも作っておこうと考えてしまったのです(苦笑)。
「で、その心は?」と問われれば、60㎜サイズの小型ブランクに相応のウェイトを仕込む(イトウ用の道具立ても考慮)ことを鑑みた時、バルサ材よりも比重が重いヒノキ材一択では不安になってしまったと答えるしかありません(失笑)。
かつて製作したItoyo‐70 Flat(上リンク先を参照)では、破損上等の心積もりでバルサを使ってみたわけですが、想像以上に堅牢で、若いイトウの猛攻を受けても破損せずに済んだという事実もあるので、勇気を出して作ってみようと思います。
と云ったわけで、製作ボリュームは以下の通りとなりました。
ヒノキ(3本)とバルサ(3本+ダミー1本)といった内訳で準備することにして、最終的に各種1本づつお渡しできるようにする算段を立てました。
この算段が「捕らぬ狸のなんとやら」にならないことを祈るばかり(笑)。
そんな予定は未定の話はそこまでにして…。
基本的には比較を目的にしているので、双方ともにウェイト(量や配置バランス)や内部構造線(仕様や形状)は同じにするつもりです。
ただ、リップのセッティングの段階になったら分かりませんね…。
リップレスの状態で比較(スイムテスト)して、それなりに思うところがあれば、マテリアルの別に応じてリップを変えるかもしれません。
といった具合に、臨機応変という名の気まぐれを大いに発揮させながら、ワンオフモデルの製作を楽しんでおります。
去る12月11日に切り出した「木片イトヨ」改め「Itoyo-60ⅡFlat」 は、目下ステンレスバットの上で製作主に調理されるのを待ちわびているところです。
きっと、製作主の余暇に充実を与えてくれることでしょう。