デンキチの木片小魚物語3

Sprout Lures の製作記録と喜怒哀楽日記

続・リップ三昧

 「今年は季節が早く進んでいくようです。」

 そんな話が方々から聞こえてきた今日この頃。

 「ならばタイヤ交換を!」とばかりに、次男坊の手を借りて夏タイヤに交換したのは去る土曜日(4月3日)のことでした。 

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 そして今朝(4月6日)ですよ…。

 ローカル番組の天気予報士が「4月8日の夜から9日にかけて雪が降るかもしれませんね。タイヤ交換はもう少し後にした方が良いでしょう。」と話していました。

 あのですね…。こちとら、4月9日と云えば、朝から県西部の山沿いの地域へ行かねばならぬ身ですよ。今更ながら雪が降ると言われても困りますわ…。

 ふと、2019年4月10~11日にかけて降り積もった雪のことを思い出しました。あの時も「20数年ぶりの珍事」と言われてましたっけねぇ…。

 いやはや、くわばら くわばら ですな。 

 こりゃぁ、物置にしまったタイヤチェーンを引っ張り出さなきゃなりません。季節の変わり目は、心も体も振り回されて疲れますね(苦笑)。

 さぁ、気を取り直して備忘録と参りましょう。 

 続・リップ三昧

 去る3月31日から一昨日(4月4日)までの話となる。今に至って、ようやく備忘録が現在に追いついた格好になった(安堵)。

1:如意櫻と鵟櫻のリップ

 この日、今オフの期間に製作してきたサクラマス用・遡上鱒用ミノー最終グループリップ装着を手掛けることになった。

 なんとなくホッとしている自分を感じた。

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 先だっての記事で綴ったように、今回からリップの固定方法を変えてみた。

 変更した印象は悪くなかった。むしろ、これまでの悩みが一気に解消できたようにすら思えたくらいだった。 

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 けれど、新たなリスクを感じたのも事実。

 それは、ブランクの加工精度(リップを装着する部分の精度)である。これを克服できればリスクは回避できるはずなのだが…。

 それこそ「言うが易し 行うが難し」なのだ。

 でも、1本、2本と進めていくうちに「なんとかなりそうだな…。」と考えられるようになってきた。それが現段階の収穫かな…。

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 といった具合に、何かを変更(それが仮に前向きな変更であれ)すると、あらゆる部分で足し算と引き算が一斉に始まるのである。

 つまりは、やってみないと分からないということだ(汗笑)。

2:イトウ用ミノー のリップ

 今冬、乾坤一擲の態で捻り出したイトウ用ミノー

 捻り出した…という割に名無しの権平状態が長く続いてしまったのだが、此度を機会に命名することにした。

 弱肉強食の図式の中にあって下層に属するイトヨにしてはふてぶてしい面構えで、かつマッチョなな風貌なのだが、それは初作(失敗作)の系譜を受け継いでいることに違いなく、それゆえに猪牙 参 陸拾型(ちょき・さん・ろくじゅうがた)と呼ぶことに決めた。

 でもって、愛称チョキ3である。 

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 因みに、初作は下記リンク先を参照賜りたい。

 前出のリンク先の過去記事でも綴っている通り、猪牙(ちょき)とは猪牙船(ちょきせん)*1由来する。 

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 命名の話はそこまでとして、何はさておきリップの装着なのだが…。

 そう、「なのだが…」なのである(苦笑)。

 ここまで小型(60㎜)でマッチョ(≒9g)なモデルを製作したことがなかったため、スイムテストをしてみるまではリップの設定はできないと感じていたこともあり、その辺の段取りが後回しになっていたのだ。

 故に、トップコートを終えたブランクに、3種類の仮リップを仮止めしてからスイムテストを行い、その結果を基に図を起こした。 

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 形状のベースは、Arco-twin である。

 準備した仮リップ(大まかには台形・半楕円・三角形)の中で、入力に対して一番シャープに反応してくれた形状だった。

 但し、Arco-twin 専用のリップではサイズが小さく、心もとないと感じたため、W寸法1㎜大きくし、かつ材厚T=1.2㎜厚くした。

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 が決まれば、後は加工である。

 アトリエの棚の奥から、毎度馴染みのテーブル・ソーを引っ張り出してきて、机の上にセッティングすると…。

 にしても、お世辞にも優秀とは言えないテーブル・ソーを扱うことにも慣れて久しい。当初は、精度を出すのに四苦八苦したものだった。

 肝は、事前のセッティング注視した方が良いということ。そして、加工中も適時アタリを付けて慎重に作業するしかないのである。

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 最近は、老眼が酷くなる一方なので、作業性を考えてCADの線を太めに設定したのだが、此度はどうやら太くしすぎたようだ(苦笑)。

 微小なサイズアップだったので、加工次第では無に帰す危険もあったため、予め所定の寸法を再確認し、太い線のどこに刃を入れるかを掴んでおいてから加工した。

 果たして、作業性改善したのか?

 はたまた、遠回りしただけなのか?

 配慮徒労に終わる瞬間ほど空しいものはない。

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 とにもかくにも、枚数が少なかったので短時間でリップの加工は終了した。

 なんとか、狙いのサイズに加工することができたのだが、線を太くしたことで得られたはずの作業性を感じることはなかった(苦笑)。 

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 そそくさとリップエッジ研磨し終えると、さっそくブランクにリップを装着する溝を加工することにした。

 此度は、3本の加工だから慌てる必要はない。

 故に、余裕をもって加工することができた。 

 やはり、時々にそぐった作業量というものがある。自分のレベル猶予を鑑みて作業予定・工程を立てるのが好ましいとつくづく感じる。 

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 夕刻、簡易的なスイムテストを行った。

 ”重いけど軽やか” そんなミノーになった。3本共にワンオフ・モデルにしては悪くない仕上がりになったと思う。

 なんとか4月中オホーツクの里親へお渡しできそうだ。まずは、その事にひたすら安堵している(微笑)。  

*1:猪牙舟・猪牙船(ちょきぶね)は、猪の牙のように、舳先が細長く尖った屋根なしの小さい舟。江戸市中の河川で使われたが、浅草山谷にあった吉原遊郭に通う遊客がよく使ったため山谷舟とも呼ばれた。長さが約30尺、幅4尺6寸と細長く、また船底をしぼってあるため左右に揺れやすい。そのため魯でこぐ際の推進力が十分に発揮されて速度が速く、狭い河川でも動きやすかった。-Wikipediaより引用-